自分がパワハラ加害者に?!訴えられないための予防策&対処法を徹底解説

「君からパワハラを受けた、という報告がある。」

「パワハラで訴えられ、高額な損害賠償を求められてしまった!」

このような事態は決して他人事などではなく、“パワハラ”というワードが浸透しつつある現代だからこそ、誰の身にも起こり得る時代です。

実際、パワハラの相談件数は年々増加しており、今までは表面化しにくかった悩みについて、声を上げやすい職場環境が整ってきているともいえます。

しかし、もしあなたが、ある日突然パワハラで訴えられてしまったら?

職場での立場が一変し、これからの人生が大きく変わってしまう可能性もある緊急事態ですよね。だからこそ、本記事では

  • パワハラ加害者がやりがちなNG行動・注意点

  • パワハラ加害者になってしまった時の対処法

  • パワハラ加害者にならないための予防策

  • 部下からパワハラ被害の相談を受けたときの対処法

これらのポイントについて、詳しく解説していきます。自分には関係ないとは思わずに、自分の身に置き換えながら読み進めてみてください。

 

ある日突然『パワハラ加害者』になることも……

 パワハラの相談件数は年々増加しており、都道府県労働局等に設置した総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ(パワハラ)」に関する相談は、平成24年にすべての相談件数の中でトップとなりました。

その後も相談件数の割合は右肩上がりで増加しており、平成30年度では25%以上の相談者がパワハラに関する悩みを抱えていることが分かります。

出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」より

誰もが「パワハラ被害者」「パワハラ加害者」になり得る時代だからこそ、パワハラに関する知識を深めておくことが重要です。まずは、

  • そもそもパワハラとはなにか?

  • なぜパワハラ被害が増加しているのか?

この2点について、詳しくチェックしていきましょう。

そもそもパワハラ(パワーハラスメント)とは?

 

まずは、パワハラ(パワーハラスメント)の定義について確認してみましょう。

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、「精神的・身体的苦痛を与える」または「職場環境を悪化させる行為」をいう。

上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。

出典:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ 2012

いかがですか?パワハラという言葉はよく耳にしますが、しっかりとした定義は知らなかった、という方も多いでしょう。

パワハラはさらに詳しく、以下の6類型に分類することができます。

  • 身体的な攻撃・・・殴る、蹴る、丸めたポスターで叩く

  • 精神的な攻撃・・・みんなの前で強く叱責する、長時間にわたって執拗に叱る

  • 人間関係からの切り離し・・・別室に隔離される、職場のイベントに呼ばない

  • 過大な要求・・・明らかに無理な残業を押し付ける、厳しすぎるノルマを課す

  • 過小な要求・・・職務と関係ない単純作業しか仕事を与えない、本来の業務から切り離す

  • 個の侵害・・・交際相手や家族の悪口を言われる、プライバシーに必要以上に踏み込む

上記はあくまで一例ですが、「パワハラ=暴力・暴言」だけではない、という点には注意する必要があります。

また、自分では業務上必要な指導、もしくは単なるコミュニケーションだと思っていても、被害者を不快にさせてしまっている可能性もあるのです。

無意識にパワハラ加害者になってしまうケースが急増中

 上記に示したように、パワハラと認定されうる行動は多岐にわたります。

だからこそ、パワハラへの理解不足から「無意識」に加害者になってしまうケースが急増しているのが現状です。

パワハラとして相談されるほとんどのケースで、加害者が悪意を持って被害者に接してはいません。あくまで仕事上の関係の中で、指導方法やコミュニケーションが度を過ぎてしまうことで発生します。

無意識・無自覚のうちに生じてしまう行為の代表であり、上下関係が明確になりやすい職場こそ、こういった見えにくい問題が横行してしまう可能性を忘れないようにしましょう。

パワハラ被害者はもちろん、加害者として訴えられないよう、ついついやりがちなNG行動について解説を進めていきます。

パワハラ加害者がやりがちなNG行動・注意点

 パワハラ加害者がやりがちなNG行動の代表例をチェックしていきましょう。

先ほども触れたように、パワハラに関するトラブルは無意識のうちに生じてしまっている可能性が高いです。

だからこそ、「このくらいは大丈夫だろう。」「自分に限って、パワハラなんてありえない!」とは思わずに、自分の行動を振り返ってみることが身を守ることにつながります。

注意するべきNG行動の代表例は以下の5つ。

  • 指導しているつもりが、つい感情的になってしまう

  • 自分の指導法が正しいと信じて疑わない

  • 部下の性格や立場を配慮できない

  • 相手のプライバシーに踏み込んでしまう

  • 言葉や態度が荒々しく、人から怖がられがち

1つでも心当たりのある人は要注意!より詳しいチェックポイントを一緒にみていきましょう。

指導しているつもりが、つい感情的になってしまう

 

パワハラ”という言葉を聞いて、一番大きな問題となるのが「指導」と「パワハラ」のちがいについてです。

指導をする側からすれば教育上どうしても必要な指導だったとしても、受け手があまりにも不快な思いをしたり、指導の範疇を超えてしまった場合はパワハラに該当します。

自分の部下に対する指導方法を思い浮かべてみてください。

  • つい気持ちが入りすぎてしまい、声を荒げてしまうことがある

  • 相手を叩く、胸ぐらをつかむ、物をぶつける、大きな音を立てて机を叩くなどの暴力行為をしてしまった経験がある

  • 「バカ」「給料泥棒」「役立たず」など、相手を侮辱する言葉をぶつけてしまう

  • 部下が納得するまで、長時間にわたって指導を続けたことがある

  • 指導後、別室に隔離したままの状態で仕事を再開させた

  • 反省文に、精神的に大きな負担となるような文言を無理やり書かせた経験がある

このような指導方法は指導の範疇に留まっているとは言えず、訴えられればパワハラに該当してしまう可能性があります。

上司といえども人間ですから、ついつい感情的になってしまうことはあるでしょう。しかし、ハラスメント対策が強化されつつある現代では、ほんのわずかな指導方針の違いが自分の首を絞めることになり兼ねません。

仕事上、部下への教育や指導は必要不可欠ではありますが、自分の言動には十分注意したほうがいいでしょう。

自分の指導法が正しいと信じて疑わない

 上記で挙げたNG指導例は、数十年前まではあちこちで頻発していました。上司と部下の関係性はまるで主従関係のように、「上司の言うことは絶対!」という風潮が蔓延していたことも事実です。

そんな時代を生き抜いてきた世代の方の中には、“自分の受けてきた指導方法が正しい”と思いこんでしまう方も……。

厳しい指導があったからこそ今の立場がある、という意見はもちろん一理ありますが、それが今の時代に合っているかどうかは別問題ですよね?

  • なんでもかんでも「パワハラ」だと騒ぎ立てるのは気にくわない

  • 最近の若者が打たれ弱すぎる。もっと歯を食いしばって耐えるべきだ!

  • 上司である自分が指導方法を決めるのは、当然のことだ

このような思考の方は、自分が『パワハラ予備軍』であることを自覚しましょう。

部下の性格や立場を配慮できない

 誰一人として同じ性格の人がいないように、部下ひとりひとりにも性格や個性、その時に置かれている立場があります。

が、そんな個人の事情には見向きもせずに、全員に同じような接し方しかできない人も注意が必要です。

同じように指導をしていても、受け手によって感じ方には差があります。厳しい口調で指導をした際に、

  • 自分のために指導をしてくれている。ありがたい!

  • とにかく悔しいから、この悔しさをバネにもっと努力しよう

このようにポジティブに捉えられる人もいれば、

  • 自分なんか役に立たない人間なんだ、辞めたほうがいい……

  • ここまで言われる筋合いはない!ムカつく!

  • こんなことで怒られるなんて納得できない、もう辞めたい

などなど、ネガティブな方向に考えが向きがちな人もいるでしょう。いい指導をするためには、こういった部下の特徴に合わせて指導方法を選択することが大切です。

「褒めて伸びるタイプか、怒られて伸びるタイプか」という話題にも上がるように、人それぞれのタイプを見極めることが、結果的にパワハラの予防にもつながります。

相手のプライバシーに踏み込んでしまう

仕事中はもちろん、就業終わりの飲み会の席などでついつい部下のプライバシーに口を出してしまっていませんか?

  • 「○○さんもいい年齢だし、彼氏とかいないの?結婚は?」などと安易に質問する

  • 配偶者や子どもに関する悪口を言ってしまったことがある

このような発言は、たとえ部下とのコミュニケーションの一貫だとしても、好ましいものではありません。

また、就業時間を過ぎた夜中や休日にしつこく連絡をいれたり、報告を迫るようなメール・電話をくり返すのもNG

「パワハラ=精神的・肉体的な被害」と認識されがちですが、プライバシーを過度に侵食するような言動も、『個の侵害』としてパワハラのひとつに定義されています。

上司と部下の関係性はあくまで仕事上のもの。相手のプライベートな部分に必要以上に踏み込む行動は、十分注意しましょう。

言葉や態度が荒々しく、人から怖がられがち

 自分では意識していなくとも、普段のなにげない言動・態度が荒々しい人は要注意!

周囲の人に「怖い」と感じさせてしまっている場合、たとえ指導の範囲内の言動であっても、相手には高圧的・威圧的ととらえられてしまう可能性があります。

仕事中の自分をふり返ってみたときに、

  • 人から「怖い」「近寄りがたい」と言われたことがある

  • 他人のことを「お前」や「おい」など、名前以外で呼ぶことが多い

  • 声が大きい、言葉遣いが良い方ではない

  • 仕事中はニコニコせず、むすっとしていることが多い

上記のような例に当てはまる人は、部下とのかかわり方について細心の注意を払ったほうがいいでしょう。

もちろんお互いに信頼関係が築けている場合は別ですが、すべての人が受け入れてくれるとは限りません。

心当たりのある人はこれをきっかけに、自分の言葉遣いや態度を見直してみてもいいでしょう。

 

パワハラ加害者にならないための3つの予防策

上記のNG行動・注意点の解説内にて、心当たりのある方が見直すべきポイントについて触れてきました。

が、それだけでは不十分。誰がいつ「パワハラ加害者」になるかは、誰にも分りません。

普段の言動にまったく不安な点のない方も、『パワハラ予防策』はしっかりとチェックしておくことをおすすめします。

具体的な予防策は以下の3点。

  1. 「指導」の範囲を超えていないか自問自答する

  2. 同僚や社員の理解を得ておく

  3. 悩みやストレスをひとりで抱え込もうとしない

それぞれの具体的な内容を確認していきましょう。

1.「指導」の範囲を超えていないか自問自答する

先ほどのNG行動「指導しているつもりが、つい感情的になってしまう」の部分でも触れましたが、部下への指導も限度を超えてしまえば『パワハラ』に該当します。

自分の行っている指導は本当に“適切な指導の範囲内”かどうか、いつも自問自答するクセをつけるといいでしょう。

  • 部下を傷つけたり、人格を否定するような発言をしていないか?

  • 指導の時間や頻度は適切か?

  • 指導方法は正しいか?部下にしっかりと伝わっているか?

  • 高圧的な態度や、恫喝ともとれるような内容になっていないか?

このようなポイントをふり返りながら指導に取り組めば、パワハラだと訴えられるリスクを最小限に抑えられます。

また、もし仮に訴えられてしまっても「自分に非はない」と胸を張って主張できますよね。ハラスメントへの意識が高まっているからこそ、指導には細心の注意を払うことをおすすめします。

2.同僚や社員の理解・信頼を得ておく

部下と上司の関係性だけでなく、同僚や他の社員とのコミュニケーションを図っておくことも重要な予防策のひとつです。

周囲からの信頼が厚ければ、「この人は厳しい側面もあるが、パワハラをするような人ではない」と、正しい視野で理解してもらえます。

一方、もともと孤立してしまっている場合、いわれのないトラブルに巻き込まれたとしても、誰にも守ってもらいない可能性も……。

いざという時のためにも、社内での良質な人間関係は大切にしておくといいでしょう。

3.悩みやストレスをひとりで抱え込もうとしない

 会社で働いていれば、誰しも少なからず悩みやストレスを感じる場面がありますよね。そんな時、ひとりで抱え込んでしまうのはNG

パワハラ行為の大部分は、その背景に大きなストレスが隠されています。溜まったストレスを部下にぶつけたり、爆発してしまった結果、パワハラに発展してしまうケースは非常に多いです。

だからこそ、悩みやストレスを抱え込まないように意識することが重要。

  • 同僚や友人に相談する

  • 気持ちをリフレッシュする機会をつくる

  • トラブルが大きくなる前に周囲の協力を得る

  • 専門機関に相談する

などなど、自分の性格やストレスの原因に応じて、上手にストレスを発散するように心がけましょう。

 

パワハラで訴えられてしまったら?加害者になったときの対処法

もしあなたが部下から「パワハラだ!」と言われてしまった場合、間違った対応をしてしまうと、事態を悪化させてしまう可能性があります。

自分にとっての不利益を最小限に食い止めるためにも、落ち着いて正しい対処をすることが重要です。

もし加害者になってしまった場合、すぐにやるべき対処法は以下の4つ。

  • 個人で解決しようとせず、会社に報告する

  • ヒアリングではできる限り細かく状況を説明する

  • パワハラではなく正当な「指導」だったと主張する

  • 相手の主張を真摯に受け止める

それぞれのポイントや注意点について、具体的に解説していきます。

個人で解決しようとせず、会社に報告する

一番大切なことは、絶対に個人だけで解決しようとしないこと。

もし、個人間で解決を目的とした金銭の授受(提案)などがあった場合、その後のヒアリングや裁判などで「隠ぺい工作を図った」と判断されてしまう可能性があります。

これでは、「自分はパワハラ行為をしていた」と認めるようなものですよね。自分にとって不利益な状況にならないよう、パワハラに関するトラブルはすぐに会社に報告するようにしましょう。

早急に自分から報告すれば、

  • 自分の言葉で状況を伝えることができる

  • 正直に相談している分、信頼してもらいやすい

  • 早期解決が期待できる

  • 第三者や専門家の意見を交えながら適切な解決策を模索できる

このような多くの恩恵を受けられます。

パワハラトラブルを会社に知られたらどんな対応をされるか、不安や心配に思う気持ちもあるでしょう。

しかし、個人だけで平和にトラブル解決を図るのは非常に困難です。トラブルに発展してしまったら、なるべく早く会社に報告するようにしましょう。

ヒアリングではできる限り細かく状況を説明する

パワハラトラブルを会社に報告した場合、多くのケースでは、まずはじめに被害者と加害者の双方にヒアリングを実施します。

まず部下に対して、

  • どんな行動をパワハラだと感じたのか

  • トラブルに発展するまでの経緯

などを丁寧に聞き取り調査します。その後、加害者となってしまった上司に対してもヒアリングを実施し、双方の意見が合致しているか自分が加害者となってしまった場合は、このヒアリング段階でできる限り確かめます。

細やかにトラブルの経緯や内容、自分の考えなどを伝えるようにしましょう。できれば時系列に沿って正確に伝えられるよう、記憶が新しい間にメモなどに残しておくことをおすすめします。

相手の主張が事実と異なっている場合もあるため、部下の主張内容をよく確認することも大切です。

場合によっては、事実確認のために双方のメールをチェックされることがあります。自分の正当性を示す重要な証拠となりますので、メールは削除しないよう注意しましょう。

パワハラではなく正当な「指導」だったと主張する

自分は正当な「指導」をしただけにもかかわらず、部下からパワハラだと言われてしまうケースもあります。

そういった場合は、業務上欠かせない正当な指導だったことをはっきりと主張しましょう。

具体的なポイントをまとめると、

  • 指導の原因にあたる部下のミスの経緯や勤務態度、問題点、過去の指導内容

  • 実際に行った指導内容(大声を出したか、暴力をふるったか、長時間ではなかったか)

  • 指導を実施した目的はあくまで業務の改善のためであり、嫌悪感や攻撃的な衝動からくるものではないこと

以上をできる限り丁寧に、かつ冷静に伝えるようにしましょう。

パワハラを疑われている以上、どうしても感情的に訴えたくなってしまう可能性もありますが、冷静に、はっきりと自分の正当性を主張することが重要です。

相手の主張を真摯に受け止める

 事実と異なる部分については、自分の主張をはっきりと伝える必要があります。が、自分の対応が相手を不快にさせてしまったことも事実です。

明らかな悪意を持った冤罪でない限り、自分の非もしっかりと受け止め、相手の言葉を真摯に受け止めましょう。

ぶつかり合ってしまえば、トラブルは悪化するばかり。お互いにとって好ましい未来ではありませんよね。

  • 相手の立場や気持ちに理解を示す

  • 自分の非を素直に認める

これらはトラブル解決に欠かせないポイントです。

すべてを相手の主張のままに受け入れる必要はありませんが、かたくなに拒むのではなく、真摯な態度で向き合う姿勢を忘れないようにしましょう。

 

部下からパワハラ被害を相談されたら?5つの対処法

最後に、自分は第三者でありながらパワハラトラブルに巻き込まれてしまう可能性にも目を向けておきましょう。

もしあなたが部下から「パワハラ被害に合っていて、困っています。助けてください。」と相談された場合、どんな対処をすればいいか分かりますか?

間違った対処法では、自分も加害者として責任を追及されるリスクさえあります。

厄介だから、巻き込まれたくないから、といった感情で放置するのではなく、正しい対処法をあらかじめ理解しておきましょう。

ポイントは以下の5つ。

  1. 被害者の心身状態に注意する・安全を確保する

  2. 加害者となっている相手を観察し、事実関係を把握する

  3. パワハラ被害が事実であれば、証拠を残しておく

  4. 会社や専門相談機関に報告する

  5. 見て見ぬふりはNG!責任を問われる場合も……

順にくわしくチェックしていきましょう。

パワハラ被害を受けている方にとっては、あなたにSOSを伝えるだけでも非常に勇気のいる行動です。あなたの対応が、被害に苦しむ部下の一生を左右する可能性があることを肝に銘じ、真剣にトラブル対応に向き合っていきましょう。

1.被害者の心身状態に注意する・安全を確保する

まずはじめに取り組むべきは、被害者の身の安全を確保することです。パワハラ被害がエスカレートすると、

  • 精神疾患になってしまう

  • 倒れてしまう

  • 過労死

このような最悪の事態に発展するリスクがあります。被害者の今の心身状態に十分注意し、パワハラが横行している環境からできる限り切り離さなければなりません。

相談を受けた段階では、パワハラの被害状況や心身状態がどうなっているかわかりませんよね。

だからこそ、まずは部下の身の安全を確保するための最善の対応を考え、事実を明らかにすることが必要です。

2.加害者となっている相手を観察し、事実関係を把握する

パワハラ行為を行っている加害者をよく観察し、本当にパワハラが事実かどうかを把握しましょう。ただし、直接「○○さんがパワハラされたって悩んでるけど」などと接触してしまうのはNG

パワハラの証拠を隠滅される恐れがあるうえ、被害を訴えた部下に対して報復をする可能性もあります。

結果的にパワハラ行為をエスカレートさせるうえ、パワハラの事実を証明することも難しくなってしまいます。

事実関係を把握する場合は、最新の注意をはらうようにしましょう。

3.パワハラ被害が事実であれば、証拠を残しておく

被害者の主張するパワハラが事実であれば、それを客観的に証明するための証拠を残しておきましょう。

  • メールのやりとり、着信履歴

  • 会話の録音

  • 医師からの診断書

これらは有効な証拠として、必ず保存しておきましょう。しかし、上記のような証拠がない場合は、

  • 目撃者を探し、証言を集める

  • 同じように被害に苦しむ人の意見を募る

  • 会話を録音する

  • 被害者に記録をつけてもらう

など、新たな証拠を集めることも重要です。被害者本人に、証拠を残すことの重要性を説明すのも大切な役割だといえるでしょう。

4.会社や専門相談機関に報告する

ここまでは自分の力で協力できる対処法でしたが、やはり確実にトラブルを解決するには、会社や専門相談機関への報告は欠かせません。

被害者や相談者だけでは、根本的な解決は難しいケースも多いです。だからこそ、相談を受けた内容や事実確認をした証拠も含め、会社・専門機関に報告するようにしましょう。

ただし、被害者の中には、

  • 公にしたくないから、会社には言わないでほしい

  • 会社に知られたら余計に働きにくくなる

このように考えて、身近な相手に相談をすることもあるでしょう。そんな時は、会社とは無関係のハラスメント相談機関に連絡するのもあり。

自分の置かれている状況を説明すれば、どんな対応が適切か、プロの視点でアドバイスをもらえます。

「自分だけでは解決できない」「どうすればいいのか分からない」という方は、以下の相談窓口の利用を検討してみるといいでしょう。

h4社外の相談窓口まとめ

相談した事実そのものが、「パワハラ被害で悩んでいた」という証拠にもなります。

相談する場合はパワハラ被害の記録と同様、日時や具体的な内容などを伝えられるようにしておくと、より的確なアドバイスが期待できますよ。

第三者機関に関しては、厚生労働省が管理する「あかるい職場応援団」でも詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。

5.見て見ぬふりはNG!責任を問われる場合も……

パワハラ相談に対処するうえで最も大切なことは、『見て見ぬふりはしない』です。

相談を受けたにもかかわらず何の対応もしない場合、パワハラの事実を知っていながら放置した、として責任を追及される可能性があります。

何より、あなたを信頼して相談してきた部下を裏切る行為に当たります。

確かにハラスメントへの対応は難しく、目を背けたくなる場合もあるでしょう。しかし、自分にできる最善の方法を考えて行動することは、上司の義務です。

すべてを自分で抱え込む必要はまったくない訳ですから、ここでご紹介してきた対処法を参考に、今の自分にできることは何かを考えてみてください。

 

パワハラ加害者にならないための予防策&対処法まとめ

パワハラ問題について、「加害者」に着目してお伝えしてきました。

パワハラは、被害者はもちろん加害者のその後の人生にも大きく影響を与えます。だからこそ、パワハラ被害者にも加害者にもならないよう、予備知識を十分に持っておくことは重要です。

今回ご紹介した予防策や対処法について、「自分には関係ない」とは思わずに、ぜひとも心に留めておきましょう。

上司と部下の距離感がどんどん難しくなってきた現代だからこそ、ハラスメントに対する知識を多角的な視点から深められるよう、本記事が参考になれば幸いです。

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